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【VOL.53】古い町並みにみる歴史の重み

(2009/01/22 澤近 泰之 )

この夏休み、四国は愛媛県にある、「木蝋と白壁の町-内子」を訪ねてみた。

内子(うちこ)は江戸時代から明治時代にかけて、木蝋(晒蝋)の生産で栄え、当時の面影を残す商家群が役600mにわたって残っている、国の「重要伝統的建造物群保存地区」として選定されている町である。

内子の小さな路地を歩き、立ち止まり、佇んでいると思い出すのは、今は取り壊されてしまった生家である。
オモテの縁台で花火や夕涼みを楽しんだことや、紙飛行機が軒先に引っ掛かり、下屋に登ったことなど、今でも記憶が鮮やかに甦る。正に、自分にとっての原体験的空間である。

100年以上の歴史を持つ町並みの家々は、様々な物語を語りかけてくるようだ。このように低く押えられた軒が連続するヒューマンスケールの町並みで は、あちらこちらで今でも井戸端会議が行われている。お店や資料館が点在する中で、民家のはね上げられた蔀戸(しとみど)の向こうには、現在も普通の生活 が繰り広げられている。時折、無愛想に路地を通り抜けるトラックや乗用車は、残念ながらスケール的にマッチするものではないが、近年になって新築された、 病院や一般住宅も、その歴史の意味を損なうことなく、町並みに佇んでいる。



地方行政も含め、そこに暮らす人々が地域における歴史の重みを受止め、本当に一生懸命に守っている姿勢に心打たれる。
山や畑を宅地造成して開発された新興住宅地における地域環境や歴史は、100年の古い町並みのそれらとは当然異なるが、どこであれ住宅をそこにつくる時、環境や歴史の意味を読み取ることの大切さを再認識した旅だった。

次回は「近作のご紹介-蓼科山荘と究極のRC狭小住宅」を予定。ご期待下さい。

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