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【VOL.162】パワースポットとエコ

(2010/05/25 高橋 隆博 )

()アトリエ秀の高橋です。

毎年、春先から梅雨時期にかけて多いのが、様々な団体や企業の「~総会」。そんな中、先日、ある年次総会が三重県の鳥羽でありました。その日の会合は夕刻からさっそく私は朝の新幹線で名古屋へ。近鉄線に乗換え、降りたのは手前の宇治山田駅。そうです、お伊勢参り(いや、ついで参りはNGなので、気持ちの上では表敬訪問?)と決め込んだのです。

 ご存じの通り、伊勢神宮といえば皇室の祖神である天照大御神を祭る皇大神宮(内宮)と衣食住や産業の守り神である豊受大御神(外宮)を中心とし、2000年の昔から最も尊い御宮です。また、近年もてはやされているパワースポットとしても代表的な場所です。 その伊勢神宮、建築的には神明造……おっと、建築を志す学生に向けた講義の様な蘊蓄を語るつもりはありません。今回、何気なく駆け足で訪れた伊勢神宮。その既知としてあまりにも有名なこの場所で、改めて考えさせられたことがありました。


五十鈴川へ直接下りてお清め。山、川、森...正に神の下りる所。     さすが平日でも観光客は多い。  

 

平日にも関わらずその人出に、さすが有数の観光地お伊勢さん!と思いきや内宮の入口まで来ると、なんと出迎えたのは白木の真新しい宇治橋でした。そうか、遷宮かぁ……。伊勢神宮の特徴のひとつの神宮年式遷宮が、3年後の平成二十五年(第六十二回)だったのです。(社殿や神宝を全て20年毎に新調する制度) そして、昭和24年は戦後の混乱で宇治橋だけがなんとか新調され、その後4年を経て遷宮が復活して以来、毎回、宇治橋のみ遷宮の4年前に先駆けて行われています。

 耐久性の関係(無塗装&掘立柱)やら、建築技術や伝統工芸を次世代へ継承する為とか、か、技術や伝統工芸を伝承する為……暦の上で当初使われた太陰暦の誤差が20年で一周する、など諸説ある様ですが、1200年以上もの間、20年毎に新調され、常に清浄であることが求められてきたのです。御正宮や荒祭宮など、全く同じ敷地が東西に並び、20年毎に交互に新築し、引越しを繰り返します。


東西同じ大きさの敷地が並ぶ。(西側は次回建築される新御敷地)       現在は東側に建っている御正宮。              


 
 近年、私たちの周りでは環境エネルギーやエコ問題で持ち切り。特に日本の住宅の寿命(2030数年?)を問題視しながら、高耐久や長寿命と叫びあっている今日この頃だからこそ感慨は一入であります。

  式年遷宮に際し、約1万本ともいわれる檜を確保する為に植林や伐採を計画的に行うようになったのは、大正時代という「つい、最近」である事に少々驚きました。(周辺の神宮林は室町の動乱期に植林しなかったことが今に影響、現在は木曽の檜を使用) 解体した古材はというと、棟持柱は大鳥居に(その20年後は全国の神社へ)、その他は(一部は削り再利用)殆どは全国へ払下げの如く再利用されます。因みに前回の多くは奥尻島の被災地へ、残りは阪神の震災地へも使われたそうです。使われる木材は20年の寿命ではなく、20年で生れ変ると言うべきでしょう。

 毎年稲が同じ形で実るように、建物も世代を引き継ぎ、永遠の命を維持する……

 手段・手法は別として、この伊勢神宮の思想、どこか現代社会におけるエコに欠けている考えのような気がします。


荒祭宮でも敷地は左右に並ぶ。今回は左側(西)を使用。    代名詞と言える神明造の御社が点在する。(外幣殿)

 

残念ながら、時間の余裕があるはずもなく外宮は断念。このあたりも「参拝ではなく表敬訪問」と勝手な解釈で自分には言い聞かせるも、宇治橋を渡り参道を進むにつれ、いにしえのパワー?を享受出来たのか、心身とも大変リフレッシュ。数日経った現在も充電満タン!といった気分で余韻を楽しんでいます。

~ご報告とお詫び~
   今回は、天皇皇后両陛下のご臨席のもと行われた「全国植樹祭2010かながわ」で、私の所属する()建築家協会<JIA神奈川>で行う「こどもワークショップ~角材と輪ゴムでまちをつくろう」についてを予定していました……、しかし、あいにく当日は雨天の為、ワークショップが開催されませんでした。よって内容の変更してお送りしました。また、事前に参加申し込みを頂いた多くのお子さんやご父兄の方々へは御礼とお詫びを申し上げます。次回のイベントをご期待ください。




 

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