【VOL.176】震災から2ヶ月におもうこと。
マグネチュード9.0という観測史上最大の地震が発生して早くも2ヶ月が過ぎました。
気象庁によれば5月6日15時現在、これまでに発生した余震は、M7.0以上は5回(7.7、7.5、7.4、7.1、7.0)、M6.0以上は76回、M5.0以上は444回です。また、最大震度4以上を観測した余震は140回ということです。過去におきた他の地震に比べ余震の多さは桁違いで、まだ今後も大きな余震が起きる可能性もゼロではない状況にあります。日本がいくら地震国とはいえ、これほどの回数の地震は未経験で、過去の同規模の地震からすれば最大余震は本震—1程度の規模が多いといわれていて、今回もまだ安心していれる状況にないので注意が必要です。
さて地震発生時、自分はちょうど外を歩いていた最中で、建物から人があわててたくさん出てきたので一瞬何が起こったのか分かりませんでした。ところが目の前のペンシルビルが隣のビルにぶつかるくらい揺れ、ガラスが音を立て今にも割れそうな勢いだったので、すぐその場を離れ、広い通りにでました。すると中高層のビルも大きく揺れていて、これはただ事ではないとその時感じました。自分でも意外と落ち着いていたのですが、もしこれが建物の中や高層ビル、地下やエレベーター、電車の中などであったらどうだっただろうか、と思うとあまり想像したくはないけれど、たぶん少しパニクっていたかもしれないなと思います。今振り返ると外を歩いていると人間は揺れに対しては鈍感になるから落ち着いていれたのかもしれません。家に戻ってみると意外と物が落ちていなかったので安心しましたが、テレビの画面に映し出された映像からはその事の深刻さに目を奪われ、報道している側の緊迫感が画面を通じて伝わってきました。
設計を職業としている以上、地震によって建物が崩壊して人命が失われるというのはいたたまれません。しかしこれほどの巨大地震にも係わらず、木造住宅自体の損傷は思ったよりも大きくなかったのは、「キラーパルス」といわれる木造住宅に被害をもたらす周期1秒前後の揺れが少なく、0.1〜1秒の短い波がほとんどだったからだといわれています。ところが結果的にその後の津波による被害が甚大なものになってしまいました。津波は高さ1mで厚さ6mmの鉄板を曲げるといわれ、2mになると木造住宅を破壊するといわれています。今回の津波はそれ以上の高さで、木造住宅がいとも簡単に流されて行く映像には衝撃を受けました。
他にも浦安や久喜、我孫子で起こった液状化による住宅被害は深刻です。建物自体は壊れなくとも地面が隆起し、マンホールが浮き上がりライフラインが破壊され、建物がちょっとでも傾けば、三半規管がおかしくなって健康被害も出てくるので日常生活を送れなくなってしまいます。この状況にあって国もようやく重い腰を上げ、液状化による被害の補償の幅を広げました。
地震被害といっても揺れ方や地盤条件、また立地条件によってさまざまです。これは今回の地震の被害が局地的なものではなく、広範囲に渡っているためで、それぞれの自治体によって被害状況が異なるため、地域に合った防災対策の再検討が求められるだろう。
そして何よりも今回気になった被災地の一つに福島県の新地町があります。
当日、案内いただいた諏訪神社の宮司さんの無事も確認できホッとしましたが、他の地域に比べあまり報道されず情報として多くは入ってこなかったので、少ないニュースの映像からかろうじてそこが新地町の駅だったということくらいしか分からないものでした。
この建物は福島県内で最初に設立された共立の小学校で、その前身は郷士黒澤清之進宅として使われていたものです。自分の4代さかのぼった高祖父母がこの新地町出身であることが戸籍からわかっており、黒澤清之進と兄弟であったのでは?ということが、訪問するきっかけになりました。(つまり先祖が生まれ育った住宅が今も残っている?)そのときはついでに高祖父母が住んでいたと思われる屋敷跡地を案内してもらいましたが、結局は残っている資料も少なく、調査時間もなかったことから、確たる証拠を掴めないまま新地町を後にしました。また機会を見つけて訪れようと思っていたので、まさかそれが結果的に観海堂を見る最後となってしまうとはその時は思いもしませんでした。実際にGoogle mapで確認してみると建物は跡形もなく、かろうじて基礎部分がその建物が建っていた痕跡を残しているのみでした。
1000年に1度の確率で起きるといってもそれが今日、明日起こらないとも限りません。ハードを過信し過ぎる防災対策は不十分であることは明らかだし、ハードとソフト両面からの防災対策が必要になります。そしてやはり人と人のつながりが一番大切だと今回感じました。阪神淡路大震災以降、自助・共助・公助の相互関係が防災対策の基本だとされてきました。人は支え合って生活して行く以外生きて行けません。今回「想定外」という言葉が頻繁に使われましたが、想定外を想定した対策であってはまた同じ事を繰り返すだけではないかと思うし、柔軟に物事を考えて臨機応変な対策をおこなっていってほしい。
もう一つ今回の地震によって浮き彫りになったのはエネルギー問題です。今もなお継続している原発問題は、大きな課題として次世代エネルギーをどうするかを真剣に考えて行かなくてはいけない問題です。日本人は、このままのライフスタイルを続けるのが良いのか、これを期に見直して、あらたなジャパン・スタイルのライフスタイルをつくるのがよいのか判断しなくてはいけない岐路に立っています。しかしすぐに変わる事は難しいし、生活をして行くための電気依存はしばらくは変わらないだろうから、どこからそのエネルギーを得るかということが課題になってきます。太陽光、風力、バイオマス、地熱など様々な技術が開発されてきてはいますが、普及レベルにはもう少し時間がかかりそうです。ただ将来的には自家発電システムと蓄電技術によって、家庭の消費エネルギーは家庭で創る時代になるだろうし、もしかしたらそう遠くないのかもしれません。そう思いたいです。
そしてまた落ちついたら、新地町をはじめ、東北地方を訪れてみたいと思います。
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Column
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