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【VOL.198】豊かな住まい

(2013/03/12 高橋 隆博 )
 先日、さいたまで開催された日本建築家協会の保存大会に参加してきました。シンポジウムやいくつかの名建築を見学、古き良き時代と現実を行き来しながら、思うことがありました。

 

 省エネやECOというこどばが日常当たり前の様に使われる昨今、政府はいよいよ将来のエネルギー対策の一環として低炭素建築物認定制度に踏み切りました。 

 埼玉県比企郡三保谷村(現在の川島町)の田園風景の中に、日興證券の創設者である遠山元一氏が、昭和初期の贅を尽くした大邸宅がある。幼い頃に没落した生家を自身の成功の後、母親の住まいにと再興したものであり、当時職人は東京の名工を呼び寄せ、資材は関西からも取り寄せるなどして、昭和8年から2年半以上もの年月をかけた名建築は、天皇陛下がご休憩される程の庭園および邸宅であります。それは大正モダンの様な洋館ではなく、どちらかと言えば質実剛健!? 奇をてらった贅の露出とは異なった好感のもてる和の空間。驚いたことに、幼少の頃親交のあった親戚の家を数十年降りに訪ねたかのような、どこか懐かしさや生活の一面をも思い浮かぶ空気感があった。

 由緒ある料亭の様な佇まいながら、過度なきらびやかも無く現実味ある遠山邸。いつの間にか、そこかしこで自分が暮らす光景を重ね合わせ楽しんでいる自分に気付く。そして、その想像の中の暮らしを十分に堪能、邸宅を後にする頃には、どことなく物足りなさも感じていた。それは、現在では調達困難に近い資材をふんだんに丁寧な仕事で造られた名建築は間違いないのだが、只只「寒さ!」をしのぐ方策が見当たらなかった為であった。(この建築の良さを殺さずに、どうやって暮らすか。。。)
                 

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