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【VOL.212】正倉院を間近に見て感じたこと

(2014/02/06 鈴木 友則 )
 デザインスタジオ バオバブの鈴木です。

立春を過ぎたというのに雪が降ったり、まだまだ寒い日が続いていますね。体調管理には十分ご注意ください。
さて今回は好きな建物の一つでもある正倉院についてです。
過去に何度も訪れたことがありますが、しばらく行かないと見に行きたくなる建物でもあります。今回もまた何年ぶりかの再訪であったが、今回はいつもと違う形で見ることが出来ました。















素屋根に覆われた正倉院


現在、大正2年に解体修理が行われて以来、ほぼ100年ぶりに改修工事が進められている正倉院。平成の大修理もほぼ完了し、今年の10月まで整備工事がおこなれ、その後一般公開される予定です。
宮内庁では今月最後の工事現場の一般公開が行われます。
全5回の一般公開のうち、幸いにも昨年夏に行われた第4回目の一般公開にいく機会を得ました。

 
















自然石の礎石の上に立つ束柱

正倉院はご存知のように平成9年
(1997)に国宝に指定され、「古都奈良の文化財」の一部として世界文化遺産にも登録されている建物で、東大寺の倉庫の一つです。北側から北倉、中倉、南倉と呼ばれる三つの倉がある一棟三倉形式で檜造り、単層、寄棟本瓦葺き、高床式。間口は約33メートル、奥行9.4メートル、床下約2.7メートル、総高約14メートルの規模で倉を支える直径60センチほどある40本の束柱が自然石の礎石の上に建ち並んでいます。一部の束柱は鎌倉時代に交換しているようですが、それ以外は創建当時のものだそうです。また束柱にはタガがつけられていますが、これは江戸時代につけられたものだそうです。
建立時期は不明のようですが、光明皇后が夫聖武天皇の遺愛の品を大仏に奉献した756年(天平勝宝8)前後とみるのが通説のようです。


シンメトリーの外観は重厚感があり、シンプルなデザインが印象的ですが、高床式のおかげで、重すぎず、軽すぎずの印象を与えてくれています。また約1250年にも及ぶ雨風に耐え、また歴史という時間を超えてきた建物としての風格を感じます。
普段は東側の外観を見学するのみで、近づくことは出来ないので、間近で見られるチャンスはなかなかありません。
今回見学できたことはよい勉強になりました。
















 三角の断面をした校木















2層になっている倉内部

近くで見るとまずその大きさに圧倒されます。
やはりいくら実物を見たとしても離れて見ていては、そのスケール感はわからないし、ましてや写真で見ただけでは建築の場合、印象が違うものも少なくない。
その造形がシンプルであり、限られた素材によって構成されている建築物であるため、離れて見た印象よりも近づいて見たときの方がより素材の力強さを感じたし、時間の流れによってしか形成されない造形美を感じることも出来ました。

パンフレットによれば今回の工事は前回100年前に行われた大正時代のように全てを一度解体して組み立て直すという工事ではなく、屋根の瓦の葺き替えと建物の構造補強工事を行った工事だそうです。















今回の整備工事による小屋組補強と構造補強がわかる小屋組模型


















大棟棟積みの原寸模型
その大きさがわかると思います。

屋根の葺き替えのために降ろした平瓦約
21,200枚の内、約5,100枚(全体の24%)を、軒平瓦は約380枚の内、約190枚(全体の50%)を再利用しているそうです。また南面・東面は、瓦を土で固定する土葺、北面・西面は桟木に釘で留め付ける空葺を採用しています。
















屋根下地

南面は日当りがよく、環境が良好なために天平時代と鎌倉時代の瓦を再利用し、東面は普段われわれが見学できる面は中央部に室町・慶長瓦、江戸瓦、明治瓦を配し、両端部に今回新しく製作された伝統製法による平成瓦を使用。北面・西面は軒平瓦及び平瓦ともに今回新しく製作された現代製法の平成瓦です。

 















現代製法平成瓦

伝統製法瓦と現代製法瓦の違いは、見た目はまったく同じですが、重さが違うそうです。現代製法の方が、制作時に荒土を真空状態にするために密度が高くなって重たいようです。
文化財保護の観点から改修する場合、創建時の姿に完全にもとに戻すことがよいのか、現代の技術を用いて、現代の基準に基づいて修繕して行くことが良いのかということが常に議論になります。その時代時代で考え方や価値観が異なってくるのでなかなか難しい問題ですが、現代に生きるものとしては、次世代へとつなぐことが出来るように、ベストまでいかないまでもよりベターな方法を選択できるようにベストを尽くすということが大切ではないかと思います。

また今回感じたのはその素材の耐久性でした。
躯体自体もそうですが、その瓦の優れた耐久性には脱帽です。
軒先瓦や軒平瓦には創建当時の瓦は残っていないようですが、平瓦には天平時代のものもあり、状態さえ良ければ1000年単位で使用することも可能であるということに驚きました。
















天平時代の平瓦

















慶長期の軒平瓦 東大寺の文字銘が入っています。

















天保期の軒丸瓦には東大寺正倉院という文字銘がある

普段の設計では建物の軽量化、コストダウンなど様々な観点から瓦屋根を採用することはほとんどないのですが、長きに渡って建物を維持管理し、後世に受け継いでいくためのその設計手法や素材の選択についてあらためて考え直してみる必要があるのではないかと気がしています。

国宝や文化財といったものと自分が設計するものは違うけれども、せめて半世紀、いや1世紀という時間の流れに耐えうるように設計できるようにしたいものです。

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2016/12/06 00:57 | online
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