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【VOL.121】『記憶を継承する』 家づくり

(2009/01/22 市川 均 )

皆様、こんにちは。

11回目の登場となります市川均@アーキネットデザインです。
今回は、『記憶を継承する』家づくりの御紹介です。

ここで紹介するのは、建て替えする家づくりにおいてそれまで住んでいた家の記憶を継承したい という家づくりの紹介です。

建て替えする家は小さな農家の住宅で築30年程、しかしこの家は築100以上の大きな茅葺きの農家住宅を建て替えたものでした。この家を小さく建て替える 際、極力前の家の柱や梁の構造材と建具は再利用しました。
よって、この家の多くの材料は130年以上前のもので、それは40才後半の建て主さんにとっても、自分が育った記憶と重なり思い出のつまった材料でした。

またこの家は和風と洋風を混在させた点も面白いです。
一言でいうと、大きな洋館の中に、町家の空間構成を引用し、離れのような古材をふんだんに使った和室を入れ込んだ家になっています。玄関から続く通り庭風 土間をはさんで、日常的な洋の空間と、接客や趣味の用途に利用する和の空間が同居しているのですが、デザインとしては違和感なく見えると思います。


玄関から通り庭と和室を見る。

正面の黒い柱は130年程前のケヤキの恵比須柱でした。
実はひとまわり大きな大黒柱があるのですが、ちょっと虫食いがひどかったので、それは裏の廊下に使う事になり、奥に見える新しい大黒柱は、近くの富士の麓の杉の木です。

和室の押入の建具も130年前のものです。

最近では見かけなくなった物なので懐かしさが落ち着きます。


ここは2階のファミリールームですが、あまった古材の梁を使ってテーブルをつくりました。

また、写真には移っていませんが、手摺やカウンターとしてもポイントに利用しています。
古材はガラスや金属等の新しい素材とも組み合わせてもこのようにきれいに仕上げる事が出来ます。



今回紹介した『記憶を継承する家づくり』は建て替える前の家の材料が特別古い物だったので、特殊なケースと考えがちですが、実はそんな事はありません。どんな家においても、自分が育った家の記憶を継承する事はとても大切な事だと思います。「もったいない」気持ちも大切ですし、新しい家にすぐに愛着が持てるし、新築の家のよそよそしさが無くなるし、良い事が色々とあると思います。

これまでこのコラムで紹介した家の中にも、91号のO邸69号の医院併用住宅3号に紹介した土壁と三和土の家などが建て替え家の古材を活用しています。

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